2023.11.01TOPICS

【CREVIS ONLINE STORE】今月の1冊~THIS MONTH’S PICK~『ハッブル宇宙望遠鏡 探究と発見のまなざし EYES OF HUBBLE』

クレヴィス刊行の “イマ” 読んでほしい本を月に1冊紹介する《今月の1冊~This month’s pick~》。 様々なジャンルのヴィジュアル本の中からその月にお勧めしたい1冊を皆様にご紹介!Crevis Online Storeでは紹介書籍を紹介月に限り送料無料でお買い求めいただける特典がございますのでこの機会に是非ご検討ください。

今月の1冊~This month’s pick~

今月は、『ハッブル宇宙望遠鏡 探究と発見のまなざし EYES OF HUBBLE』を紹介いたします。

NASA(アメリカ航空宇宙局)とESA(ヨーロッパ宇宙機関)の共同プロジェクトとして運用されるハッブル宇宙望遠鏡。1990年にスペースシャトル・ディスカバリー号により宇宙空間に打ち上げられ、高度約550kmを周回しながら、“宇宙に浮かぶ天文台”として30年以上経った現在も観測を続けています。口径2.4mという大きな鏡を搭載した反射望遠鏡で、私たちが目で見るのと同じ光である可視光を中心とした波長で宇宙を詳しく探る初めての宇宙望遠鏡です。

今回は、本書に掲載されているハッブル画像をいくつかご紹介いたします。

ハッブル宇宙望遠鏡が太陽系・惑星科学に残した多大な成果として、木星や土星のオーロラ、木星の衛星イオの火山活動の観測を継続的に行い、衛星エウロパから水が噴き出していることを見出したことなどが挙げられます。

この見開きでは、土星の南極域(左)と北極域(右)のオーロラを紹介しています。左の画像は2004年に可視光で撮影された土星の画像に紫外線で撮影されたオーロラの画像を合成したもの、右の画像は2017年に紫外線で撮影されたものです。異なる時期に観測することで、南北両極付近のオーロラを捉えることができた事例です。

星の輝きは永遠ではなく、恒星には一生があり、あるときに生まれ、やがて死を迎えます。星は質量によって、その一生が異なります。ここでは、「惑星状星雲」と呼ばれる星の最期の姿をご紹介します。

星は中心部で起きる水素の核融合反応で輝いています。中心部で核融合の燃料となる水素が尽きると、星の外層部がふくらんで「赤色巨星」と呼ばれる状態になります。

太陽の0.8〜8倍程度の質量の星は、赤色巨星の外層部のガスがゆっくりと放出され外側へ広がっていきます。やがて中心には星の“芯”が残され、その周囲を先に放出されたガスが取り囲んだ状態になります。星の“芯”からの紫外線は、周囲のガスを電離して輝かせ、「惑星状星雲」と呼ばれる天体になります。球体の恒星からガスが放出されるのですが、惑星状星雲は実にさまざまな形を見せます。

この4頁にわたる両観音開きでは、惑星状星雲の多様な姿を一覧でご覧いただきます。まさに宇宙の神秘ですね。

地球から肉眼でも見ることができる球状星団オメガ・ケンタウリの中央付近を捉えた画像をトリミング使用し、4頁にわたる圧巻の大パノラマとしました。

10万~100万個程度の星が狭い領域にほぼ球状に密集している星団を「球状星団」といいます。天の川銀河には150程の球状星団があることが知られていますが、オメガ・ケンタウリは他の大きな球状星団の10倍ほどの質量があり、銀河系最大の球状星団とされています。

美しい渦巻銀河の画像を並べた見開きです。右頁の棒渦巻銀河の渦状腕では、新しい星が生まれています。この画像では、新たに生まれた高温の星が青く輝いて見えています。渦状腕に点在するガスと塵の雲は、この画像では赤く光っています。それらのガスや塵は新たな星を生み出す材料となります。

この画像は、紫外線から可視光、赤外線まで7種類のフィルタを使って撮影した画像を合成したものです。さまざまな波長で観測を行うことにより、たとえば可視光だけでは見えない銀河の真の姿が現れてきます。

ハッブル宇宙望遠鏡の打ち上げ18周年を記念して2008年4月に公開された「相互作用銀河」の画像コレクションを両観音開きで一覧にしました。

銀河同士が近づくと、それぞれの重力が相手に影響を及ぼし合うことがあります。このような現象を銀河の相互作用といい、互いに影響し合っている銀河のことを「相互作用銀河」と呼びます。

銀河同士の接近によってわずかに変形したものから、大きく形が変わってしまったもの、合体しかかっているものまで、相互作用の程度はさまざまです。

ハッブル宇宙望遠鏡で行われてきた重要な観測の一つに「ディープ・フィールド」と呼ばれるものがあります。これは、地上望遠鏡など従来の観測では天体が無いように見える空の領域を、通常では考えられないほど長い時間を割いて観測するものです。

そのような観測が最初に行われたのは、1995年の「ハッブル・ディープ・フィールド」でした。やってみなければ何が写るか分からないため、反対意見も多かったものの、実際に観測してみると、大量の銀河が写し出される歴史的な成果が得られることとなりました。それが、10日間の観測で得られた画像の中から342点で構成した左頁の画像です。

ハッブル宇宙望遠鏡の後継機となるジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の開発を続けていたNASAは、2021年12月25日に同機を打ち上げ、宇宙最初期の星や銀河の形成などの解明を目指して観測を進めています。

弊社では、このジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡の画像を表紙に掲載し、ハッブル宇宙望遠鏡や惑星探査機などが捉えたNASAの天体画像傑作選による壁掛けカレンダー『SPACE 天体写真カレンダー 2024』を刊行しています。こちらも是非、ご覧くださいませ。

https://crevis.co.jp/publishing/space-astrophotographycalendar-2024/

弊社ではまた、ハッブル宇宙望遠鏡の驚くべき画像も数多く展示する写真展「138億光年 宇宙の旅―驚異の美しさで迫る宇宙観測のフロンティア―」を企画制作しています。今月半ばより、徳川家康生誕の地、岡崎での巡回展が始まります。家康ゆかりのスポットめぐりを兼ねて、この機会に是非、岡崎までお運びください!

【展覧会情報】
期間:2023年11月19日(日)~2024年1月8日(月・祝)
会場:岡崎市美術博物館
開館時間:10:00~17:00(入館は16:30まで)

*詳細は同館ホームページをご覧ください。
https://www.city.okazaki.lg.jp/museum/exhibition/openexhibition/p039317.html

【本書概要】

書名:ハッブル宇宙望遠鏡 探究と発見のまなざし EYES OF HUBBLE
監修:渡部潤一(国立天文台 上席教授)
執筆:岡本典明(サイエンスライター)
判型:縦238×横240 mm 並製本
頁数:224頁
定価:2,750円(本体2,500円)
ISBN: 978-4-909532-52-7