2025.02.10TOPICS

写真展「ロバート・キャパ 戦争」を2025年3月 東京都写真美術館にて開催いたします。

「Dデー作戦」でオマハ・ビーチに上陸する米軍、ノルマンディー、フランス1944年

戦後80年、いまあらためてキャパ作品を見直す意義

写真展「ロバート・キャパ 戦争」を2025年3月 東京都写真美術館にて開催いたします。
20世紀が生んだ偉大な写真家のひとり、ロバート・キャパ。「カメラの詩人」と言われ、またすぐれた「時代の証言者」でもあります。その写真の背景には苦闘するヒューマニストの眼があります。戦争の苦しみをとらえるとき、そこにキャパの人間としてのやさしさ,ユーモアがあります。キャパは人間を取り捲く状況を少しでもよいものにしようというつよい信念と情熱をもって状況に身を投じましたが、それだけでなく写真のもつ衝撃力を見分ける確かな眼を持ち合わせていました。
1930年代ヨーロッパの政治的混乱、スペイン内戦でドイツ・イタリアのファシスト政権に支援されたフランコ将軍の反乱軍によって次第に圧倒されて敗北する共和国政府軍、日本軍による中国の漢口爆撃、第二次世界大戦で連合軍の対ドイツ反攻作戦の始まる北アフリカから、イタリア戦線、ノルマンディー上陸作戦などの戦闘現場に立会い、命がけの取材写真は眼に見える確かな記録として報道されました。それらの多くは時空を越えて、後世の人びとにも訴えかけるつよいメッセージとなっています。
本展では、東京富士美術館が所蔵する約1000点のコレクション・プリントから、“戦争”に焦点を当てた作品約140点を厳選して展示します。昨今のロシアとウクライナ、パレスチナやレバノンとイスラエル等の地域における紛争、シリアのアサド政権崩壊による影響など、世界の現状は、残念ながらキャパの願った「人間を取り捲く状況を少しでもよいものにしよう」という思いとはほど遠いものです。それ故にこそ、いまあらためてキャパの写真証言を見直すことの意義があります。

革命について講演するレオン・トロツキー、デンマーク、1932年

崩れ落ちる共和国側の兵士、コルドバ前線、スペイン、1936年

【展覧会情報】
写真展「ロバート・キャパ 戦争」
期間:2025年3月15日(土)~ 5月11日(日)
会場:東京都写真美術館 地下1階展示室 恵比寿ガーデンプレイス内
開館時間:10時−18時(⽊・⾦曜⽇は20時まで) ※⼊館は閉館時間の30分前まで
休館⽇:毎週⽉曜⽇(月曜日が祝休日の場合は開館し、翌平日休館)
主催:クレヴィス
共催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館
協力:東京富士美術館
会場HP

マラガ市からの避難民、スペイン、1937年

日本軍の空襲で廃墟となった住居跡に坐り込む女性、漢口、中国、1938年

パリ解放を祝う人びと、フランス、1944年

シャール・アーリア移民一時収容所の子ども、イスラエル、1950年

キャパが地雷を踏んで死去する直前に撮影した一枚、仏領インドシナ(現ベトナム)、1954年