2025.06.24PUBLISHING

写真集『人間の大地』
野町和嘉

野町和嘉がサハラに出会ったのは、1972年、25歳のときでした。地平線を見てみたいという冒険心からビザももたずにアルジェリアに向かい、サハラの大砂丘を目にしたのがきっかけです。このとき、広漠たる地に暮らす人々に魅了され、サハラを縦走、次いでナイルを取材。以降、世界各地で過酷な風土で生き抜くために神と向き合う人々に何度も足を運び、肉迫して取材した作品は、いずれも各国のグラフ誌に掲載され、また国際版の写真集を出版、世界に発信されました。
本書では、自ら「荒地願望症」という写真家の半世紀にわたる旅の軌跡を紹介します。内戦による政情不安のリビア、南スーダンや、外国人の取材が許可されないチベットなど、撮影を続けてきた地域の多くが今や足を踏み入れること自体、困難となっています。その一方で、携帯電話をはじめとする電子機器の急速な普及によって、伝統社会が劇的に変質したことで、野町が捉えた、大地にしっかり根を下ろし、深い信仰を支えに生きる人々の豊かな表情は、二度と撮影できない「人と大地のドキュメント」として貴重な記録となっています。本書は代表作を中心に、旅のエッセイも併載し、フォトジャーナリストとしての野町の足跡を辿ります。

【構成】
①サハラ―空と砂の間で
砂の地平線との出会い。荒地願望はここから始まった。
②ナイル―アフリカが流れる
ナイル奥地に生きる人々の伝統文化の最後の輝きの記録。
③エチオピア―旧約聖書の世界
中世の趣を残す、エチオピア高原の信仰の姿。また、100万人が餓死したというエチオピアの飢餓を取材。
④グレート・リフト・ヴァレー ―アフリカ大地溝帯
地殻活動が大陸を引き裂く東アフリカ一帯は人類発祥の地。過酷な風土に生き抜くアフリカ の原像とも呼べる人々の暮らし。
⑤メッカとメディナ―イスラーム大巡礼
メディナ在住の有力者からの撮影依頼をきっかけに、イスラーム教に改宗してメッカの大巡礼を撮影。全世界から集まるイスラーム教徒の素顔に迫る。
⑥チベット―天の大地
高度4000~5000mの高地で信仰を支えに生きる人々と独自のチベット仏教の姿
⑦アンデス―黄金郷の今
インカ文明とカトリック信仰が習合し、広大な地に根付いた独自の宗教文化を捉えた記録。

写真183点、エッセイ62編を収録。


  • 3,960円(税込)
  • サイズ・B5変形
  • ページ数・232ページ
  • ISBN・978-4-911003-39-8